昨年末の事ですが、さすがの僕も死を覚悟しました。

と言うのも、今は使っていないうちの田んぼが村の山奥にありまして。昔は田植えや稲刈りの頃は父親と行ったものです。その棚田のある所に20年ぶり位にふと佇んでいたのです。

昔を思い出す、そんな懐かしさにふけっていたところ、少し距離のある向かい側に何か居るんです。

よく見ると自分の立っている向かいの山側(距離にして100m位か)というか、田んぼを挟んだ向かい斜面の山道に、こげ茶色の大きな何かが目に入りました。生き物です。四つんばいです。

秋田犬ではありません。

熊です。しかもあきらかにヒグマで完全最終形態です。
(((( ;゚д゚)))

うちの村はたまに熊が出ます。まぁ山奥にはたいがい熊がいるみたいですが。

動物園で見たことのある方はお分かりだと思いますが、めちゃくちゃ怖いです!!

デカイです。ヤツは。(`・д・´)。

ヒグマ


この距離にして、すでにヤツと目が合った事は直感的に解りました。僕は冷静になろうと、とりあえず今からどう動くべきかを考えました。

しかし、やつは猶予を与えようとはしませんでした。ゆっくりと動き出し、こちらに歩んできます。近くに車がある訳ではないし、自分の車までは軽く500mは走らないといけない。幸い熊のいる方とは逆方向に帰り道があるので、あとはいかにそっちに移動するかが問題です。

地形上、熊が僕のほうに来るには少し遠回りをして、僕の視点から言うと、左前方より山の斜面を回るように近づいてこなくてはならなかったのですが、前述の通り、既に熊はこちらに移動してこようとしています。それどころか心なしか足の動きが早まっています。目は確実に僕を捉えています。

僕はこのままでは確実にやられると思い、帰り道を歩き始めました。すると熊はゆっくりとスピードを上げて走ってきました。

僕は0.05秒で、これから来る極めて近い未来の自分を想像しましたが、駄目で元々、僕も走りました。力いっぱい全速力で足元の悪い山道を走りました。比較的急な下り勾配。草が足を滑らせます。

僕は走りにくいながらも後ろからどんどん距離を縮めて追いかけてくる熊を確認しながら、あと数十秒の命である事を悟り、なんとも言えない感情から涙目です。人は死ぬ間際、これまでの人生が走馬灯のように巡ると言いますが、熊は人生を振り返る時間すら与えてはくれませんでした。


ヒグマが全速力で僕の背後に20mくらいに迫り、もう駄目だとほとんど諦めた時、僕の目は覚めました。

ひどく寝起きの悪い朝でした。全身に汗をかいていたのは言うまでもありません。

『花咲く森の道〜♪ 熊さんに出会った〜♪』