久しぶりの更新である。


先日、バンドのドラマーさんが亡くなってしまった。

drum

誰もが驚き、悲しんだ。

彼とは以前の仕事で初めて会い、その後も度々現場で会ったり、一緒に設計士さんとCADを教わったり、そして縁があり僕の地元地区に越してこられ、偶然にも子供同士が同級生で、行事なども同じく過ごした。

誘ってもらったバンドのドラマーでもあった。

僕よりも若い。

誰からも嫌われることなく、誰の悪口を言うわけでもなく、あの大きな体で多くの人を包み込んでいた。

夏のバンド練習のあと、彼のおすすめの焼き鳥屋さんに行った。裏メニューを教えてくれたり、また彼も焼き鳥屋での経験があり、毎夏、バンドステージの後、朝から仕込んだ焼き鳥を振舞ってくれた。お店で食べる焼き鳥の味そのものであり、とてもスーパーで材料を仕入れてきて出来たものとは思えない。

人の人生とはわからないもので、誰がこんなことを予想出来たであろうか。


訃報を聞いた日の夜、まだ家で会える間にバンド仲間4人でお宅に伺い、会わせてもらった。白く化粧された棺に納められた彼を見ても誰もが現実と受け入れられない。僕自身41歳で、同年代の方が亡くなることは稀な年代であり、慣れていない。老人介護の仕事の中では人の最期に立ち会うことは少なくないが、これは別物である。

奥様のお父様が最後の様子を我々に聞かせて下さった。

来月3日に、来年の曲を決めるべく忘年会でもしようかと話していた矢先の出来事であった。

奥様もお嬢様も気丈に我々を迎え入れて下さり、感謝しかない。

通夜は夜勤で行けなかったが、葬儀には参列出来た。

家族葬であったが、とてもたくさんの方が参列されていて、皆で彼の最後に立ち会った。

会場の入り口には、生前に撮られた家族写真と、僕が取り急ぎ作った今年のバンドステージのDVDも流されていた。

参列者の多くは、彼のドラムを叩く姿を見るのは初めての様子であった。

焼香も済み、最後に参列した皆で棺に花を添えた。

棺は閉じられ、霊柩車に納められた。

奥様によると棺も特大サイズらしく、載せられた車の後方が静かに沈んだ。

僕は多分、涙はあまり出ないほうだと思っている。

悲しみの量と涙の量は比例しない。

黒いエルグランドの助手席には奥様が乗られ、中央のスライドドアからお嬢さんが写真を抱えて車内の棺の横に座られた姿を見たとき、涙は堪えられるわけはなかった。



残された家族さんに精一杯の応援を誓ったのは、きっと僕だけではない。



心より、ご冥福をお祈りする。


2013中義会